経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMANⓇ)

心房細動の脳梗塞予防
心房細動とは、心房が規則正しく収縮できず痙攣したように小刻みに震える不整脈です(図1,2)。

   
    図1 心臓の4つの部屋                                                         図2 心房細動


心房細動によって、心房内に血液のよどみが生じ血の塊(血栓)ができやすくなることが知られています。血栓の多くが発生する場所として考えられているのが心房の「左心耳」と呼ばれる部位です(図3)。


   図3 左心耳


心房細動が原因でできる血栓の約9割が、左心耳の中にできると言われています。血栓が血液に流されて脳の血管に詰まってしまうと「脳梗塞」という病気になります。心房細動が原因で起こる脳梗塞は重症になることが多く時には命にかかわる場合もあります。心房細動による脳梗塞を防ぐための標準的な治療は薬物治療で、「抗凝固薬」を服用します。しかし脳梗塞を予防するためには「抗凝固薬」を飲み続ける必要がありますが、逆に出血しやすくなるという問題が発生します。頻度は少ないものの脳出血や消化管出血などの命に関わる大出血を来すこともあります。よって過去に大きな出血を起こしているような患者様の場合は長期的に「抗凝固薬」を継続することが難しいことがあります。このような患者様に新たに提供できるようになった治療が経皮的左心耳閉鎖術です。
 
経皮的左心耳閉鎖術
左心耳閉鎖デバイス(製品名 WATCHMAN FLXTM)(図4)は、ボールの形状をしており金属を編み込んだ骨組みとその周りを覆う繊維のフィルターからできています(図4)。

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図4 左心耳閉鎖システムWatchman FLXTM


このデバイスを足の付け根の血管からカテーテルを用いて左心耳まで運びそこでデバイスを広げ埋め込むことで左心耳を塞ぎます(図5)。


   図5 経皮的左心耳閉鎖術

この左心耳閉鎖術よって左心耳の中に血栓ができないようにし脳梗塞を予防することができます。左心耳閉鎖デバイスを埋め込むことで、ほとんどの患者様は「抗凝固薬」を中止することができます。

担当医師
経皮的左心耳閉鎖術の恩恵が得られる患者様には積極的に治療のご相談をさせていただいております。手技に伴う合併症や術後必要なお薬もありますので、治療を受けていただく前に十分説明させていただいております。

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副院長 兼 心臓血管センター長 山下武廣 循環器内科主任医長 三山博史 循環器内科医長 長堀亘 循環器内科医長 三浦史郎
循環器内科 呉林英悟 循環器内科 辻永真吾 循環器内科 村田有

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