経皮的卵円孔開存(PFO)閉鎖術

潜因性脳梗塞の再発予防へ
潜因性脳梗塞の再発予防へ、カテーテルを使用した経皮的卵円孔開存閉鎖術を開始しました。

卵円孔は、胎盤からの血液を右心房から左心房に送り込むために胎児の心臓に備えられている短絡路です(A)。生後閉じますが、4〜5人に1人の割合で押すと開く状態で開存しています。これが卵円孔開存です。それ自体治療の必要はありませんが、静脈血栓が形成された場合、ときに開存した卵円孔を通って血栓が左心系に入り脳梗塞を起こすことがあります。これが卵円孔開存関連性脳梗塞です(B)。比較的若年者に起こり、これまでは原因不明の脳梗塞(潜因性脳梗塞)と診断されることが多く、薬物療法で再発が予防し切れないという問題がありました。2017年に、卵円孔開存を閉鎖栓を用いて経皮的に閉鎖することによって脳梗塞の再発を抑えられることが明らかとなったため一気に注目されました(C)。

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経皮的卵円孔開存閉鎖術

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閉鎖栓(アンプラッツァーPFOオクルーダー®)は形状記憶合金のワイヤーを編み込んだ自己展開式の閉鎖器具です(A)。大腿静脈から心房中隔を通過したシースを通じて折りたたんだ閉鎖栓を左房内へ持ち込みまず左房ディスクを展開します(B)。閉鎖栓を右房側へ引き寄せて右房ディスクも展開し、両ディスクで卵円孔を挟み込むことで卵円孔を閉鎖します(C)。これによって卵円孔開存関連性脳梗塞の再発を高率に抑えることができます。近年、ゴア社の閉鎖栓も使用可能になりました。




閉鎖術適応基準
脳梗塞再発予防を目的とした経皮的卵円孔閉鎖術の適応基準は表の通りです。必須条件は、①卵円孔開存の関与があり得る潜因性脳梗塞であること、②閉鎖術後一定期間の抗血栓療法が可能であること、③原則として60歳未満、④女性では妊娠していない、かつ1年以内の妊娠を希望しないことです。その上で推奨基準として、機能的・解剖学的に高リスク条件を有する場合や抗血栓療法を施行していたにも関わらず脳梗塞を再発した場合に閉鎖術の適応ありと診断します。

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コントラストエコー法による卵円孔開存症のスクリーニング
当院では潜因性脳梗塞患者に対して卵円孔開存症のスクリーニングを行っております。
潜因性脳梗塞患者に対し右左シャントの有無の検出を行う場合、経胸壁コントラスト心エコー法は外来で容易に実施可能です。
検査方法はこちらの動画をご覧ください。 → 経胸壁コントラスト心エコー法

ブレインハートチームによる治療
経皮的卵円孔開存閉鎖術(PFO)におきましては、山下武廣副院長(心臓血管センター長)、三浦史郎循環器内科医長と呉林英悟循環器内科医師を中心に、循環器内科と脳神経外科がタッグを組んだ「ブレインハートチーム」で対応しております。

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心臓血管センター長 山下武廣 循環器内科医長 三浦史郎 循環器内科 呉林英悟 循環器内科 辻永真吾 循環器内科 村田有
   
脳血管内治療センター長 片岡丈人    

 
 
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