福島式キーホール手術による治療「福島孝徳記念脳腫瘍・頭蓋底センター」
福島孝徳記念脳腫瘍・頭蓋底センター
社会医療法人孝仁会では以前より釧路孝仁会記念病院で世界的な脳神経外科医、福島孝徳教授(カロライナ脳神経研究所、デューク大学およびウエスト・ヴァージニア大学教授)による手術を行ってきましたが、このたび旧北海道大野記念病院(2023年4月より札幌孝仁会記念病院に名称変更)の開院に伴い「福島孝徳記念脳腫瘍・頭蓋底センター」を開設いたしました。当センターでは、福島孝徳教授や、米国デューク大学で直接福島教授の指導を受けた入江伸介先生による、一般的に難易度の高い脳外科手術である頭蓋底疾患、下垂体、脳幹部、脳室内の病変や、脳腫瘍、複雑な脳血管手術などの手術を行います。北海道で福島先生の手術が受けられるのは、当院と孝仁会グループの釧路孝仁会記念病院だけです福島式キーホール手術とは?
従来の開頭手術に比較して、非常に小さい範囲の開頭で手術を行う方法です。皮膚の切開も小さくなり、術後の回復も早くなります。熟達した外科手術の技術が必要です。 社会医療法人孝仁会では、デューク大学に留学し直接福島教授の指導を受けた入江伸介先生を中心に、早くからキーホール手術に取り組んでおります。
手術方法
福島式キーホール手術
福島式鍵穴手術とは、脳外科手術で必要な開頭の範囲を最小限にとどめ、患者様の身体的な負担とリスクをおさえる術式です。「髄膜種」「聴神経腫瘍」「下垂体腫瘍」や、神経血管減圧術といわれる脳神経外科治療が必要な「三叉神経痛」「顔面けいれん」など、様々な疾患に対する手術法として、再発するリスクのない手術を行っています。この手術には高度な技術が必要ですが、福島孝徳最高顧問を中心に、福島式鍵穴手術を実践している専門医チームにより確実な手術治療を行っています。
福島式手術方法
福島式鍵穴手術は頭蓋底手術には欠かせない技術です。この技術が脳外科手術にいかに重要かをご説明いたします。2つの図を示しました。図の左は「従来の開頭」です。大きく開け腫瘍を取ります。開頭範囲が広く、周囲の脳を十分に避けなくてはなりません。図の右は「福島式鍵穴手術」です。小さく開け大きな術野を得て腫瘍を取ります。手術をする際の開頭範囲を小さくする事で手術による患者様の負担を減らし、手術中の出血を抑え、手術侵襲を少なくします。鍵穴とは名前の通り従来よりも小さい開頭という意味もありますが、同時にその穴が最も重要な「鍵」となる穴。という意味も含まれています。これには開頭をする場所が重要になります。正確な解剖学的知識と術者の経験が最も重要になるのです。また近年のMRI、CT、ナビゲーションシステムなどの素晴らしい医療機器の発展から、手術前から正確な位置を把握できるシステムがこの精度を上げる事ができるようになりました。
図1 従来の開頭
図2 福島式鍵穴手術
硬膜外の骨を処理する事で小さい穴でも腫瘍を摘出する事が可能になる
図3 福島式鍵穴手術
大きな腫瘍も扱う事が可能
図4 福島式鍵穴手術
鍵穴手術のテクニック
鍵穴手術で手術の最も重要なポイントは、「硬膜外の処理」です。硬膜とは骨の下にある膜ですが、この硬膜の外の骨を効率よく処理することで鍵穴手術が可能となるのです。図1のような従来の開頭では、せっかくの開頭が全く有効に使われていません。図2のように硬膜外の骨を処理する事で小さい穴でも腫瘍を摘出する事が可能になるのです。更には図3にように更に大きな腫瘍も扱う事ができるようになります。特に頭蓋底腫瘍は通常深いところに腫瘍があり、深い術野に到達するには狭いトンネルを通って手術を行いますので、図4のようにこの鍵穴手術のテクニックが必要になってくるのです。
鍵穴から見える脳神経
皮膚を十分に引き、小さくも十分な手術野を確保する
約2cmの開頭(矢印部の黒く抜けたところ
キーホール手術の重要なポイント
- 徹底した繊細な止血技術
- 硬膜外処置方法
- 脳血管の温存
- 詳細な頭蓋底解剖知識
- 的確なsharp dissection
- 繊細なmicro technique
- 脳のretractionを最小限に抑える
対象疾患
- 脳腫瘍・頭蓋底腫瘍(下垂体腫瘍、聴神経腫瘍、髄膜腫、錐体斜台部髄膜種、頭蓋咽頭腫、類皮嚢腫、頚静脈孔腫瘍、下位脳神経鞘腫、三叉神経鞘腫、脊索腫、顔面神経鞘腫、神経鞘腫、類皮腫、類上皮腫、海綿状血管腫、など)
- 顔面けいれん、三叉神経痛、舌咽神経痛
- 脳血管障害(クリッピング、脳動静脈奇形等、頭蓋底バイパス手術など)
医師紹介