産婦人科

産婦人科の研修は、必修として4週以上を協力型臨床研修病院、または臨床研修協力施設にて行うものとする。

1.協力型臨床研修病院、臨床研修協力施設 
・札幌医科大学附属病院(札幌市)
・社会医療法人母恋 天使病院(札幌市)
 
2.到達目標
産婦人科専門医は集約される傾向にあり、地域においては産婦人科専門医不在の施設が増えている。したがってプライマリ・ケアにおける産婦人科研修の持つ意味合いは従来より大きなものとなってきている。また産婦人科は、その扱う疾病や患者の特異性が高く、診療に必要とされる態度や手技が他の科とは大きく異なっている。また妊娠を扱う場合は、妊婦自身のみならず胎児に配慮した医療が要求される。以上より産婦人科における研修は、最低限の産婦人科救急に対応しうる知識と技術を修得すること、及び一般診療において妊娠に配慮した医療行為が行える医師を養成することを大きな目標とする。

一般目標
(1)救急対応を中心とした産婦人科疾患のプライマリ・ケアを修得する。
(2)診療に当たって妊娠、出産、魔術、胎児、新生児に配慮することができる。
3.経験目標
(1)
①患者から適切に病歴を聴取しうる。
②聴取した情報から問題解決志向型病歴を作成できる。
③病歴から必要な診察、診断法を選択できる。
④内診、腔鏡診を行い所見を得ることができる。
⑤超音波検査機器を用い経腹、経腔法の検査を施行できる。
⑥細胞診、組織診、細菌学的検査の検体を適切に採取できる。
⑦必要な検体検査、生理検査、画像検査を指示できる。
⑧妊娠の有無、可能性について判断できる。
⑨性器出血の部位を特定し、必要な止血処置を行うことができる。

(2)
①診療に当たって妊娠の可能性を確認できる。
②患者の性周期を確認できる。
③妊娠週故に応じて可能な検査や投薬を選択できる。
④流産の診断ができ、基本的な管理を行うことができる。
⑤妊娠悪阻の診断ができ、基本的な管理を行うことができる。
⑥早産の診断ができ、基本的な管理を行うことができる。
⑦妊娠中毒症の診断ができ、基本的な管理を行うことができる。
⑧合併症妊娠の母児への影響を述べることができる。
⑨投薬、検査、処置の胎児、新生児への影響を述べることができる。
4.研修プログラム
(1)病棟実習
産科
ア.切迫流産、切迫早産、合併症妊娠を各々担当し、その診察、検査、治療を主治医と共に行う。
イ.自然分娩、誘発分娩、加速分娩、帝王切開を指導医とともに取り扱い、助手(あるいは術者)として参加する。
ウ.異常彦御症例を主治医と共に取り扱う。
婦人科
ア.良性疾患として卵巣腫瘍、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮脱などの症例を各々担当し、主治医と
共に診断、検査、治療を行う。
その際、手術には助手(あるいは術者)として必ず参加する。
イ.悪性腫瘍症例を担当し、主治医と共に診断、検査、治療を行う。

(2)外来実習
①産 科:週1~2回指導医とともに産科外来で診療を行う。
②婦人科:週1~2回指導医とともに婦人科外来で診療を行う。
③その他:母親学級などで衛生教育を行う。
4.教育に関する行事
(1)オリエンテーション
・研修最初の1週間に院内諸規定、施設設備の概要と利用方法、研修医心得などについて指導する。
・指導医により各種検査方法、病態に関するレクチャーを2~3ヶ月間に行う。
(2)カンファレンス
・産婦人科カンファレンスを時に応じて行う。
5.研修スケジュール
4週を1クールとし評価、達成度の確認を行う。第一クールは知識、態度の習得を中心とし第二クール 
以降は技術の習得を中心とする。
①第一週:クール研修、受け持ち患者決定
②第二週:病棟実習、外来実習、手術実習、分娩実習
③第三週:病棟実習、外来実習、手術実習、分娩実習
④第四週:クールまとめ、評価、達成度の確認