下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは
足の皮膚の下を走る静脈(表在静脈)は足の内側を走行し足の付け根で深部静脈に合流する静脈(大伏在静脈)とふくらはぎの中央を走行し膝裏で深部静脈に合流する静脈(小伏在静脈)に流入します。大伏在静脈、小伏在静脈には逆流を防止するための弁(静脈弁)がついており、血液が足から心臓へ逆流しないように流れる役目を担っています。しかし、この静脈弁が壊れると血液が足(主に下腿)の静脈に停滞し、静脈圧を上昇させ表在静脈が拡張してしまいます。この拡張した静脈を静脈瘤といいます。
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症状
静脈瘤の症状はほとんどがふくらはぎに起こります。足に血液がたまることによっておこるので、午後から夕方に症状が強くなる特徴があります。
下肢静脈瘤の症状は他の病気に由来する症状と間違われやすいため、わかりやすいように下記の表にて比較してみました。
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また、これらの症状のほかに、急に静脈瘤に沿って発赤、押すと強い痛みが出る場合があります。血栓性静脈炎といって、静脈瘤の中に血の塊ができて炎症を起こす静脈瘤の合併症です。
 
 静脈瘤になりやすい人の例として、
①立ち仕事、特に一か所に立ってあまり動かない人(調理師、美容師、販売員など)
②妊婦
③両親が静脈瘤の既往がある人(はっきりとはわかっていませんが遺伝性があるといわれています)
などが挙げられます。
また、肥満や便秘なども下肢静脈瘤を悪化させる因子です。


見た目で分かる4タイプの静脈瘤
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一般的に症状があるのは伏在型静脈瘤(左)だけで、ほかの3種類は軽症であまり治療の必要がない静脈瘤です。下肢静脈瘤を放置していても脳梗塞や心筋梗塞などの原因にはなりません。下肢静脈瘤の人は深部静脈血栓症を健康な人の3倍起こしやすいといわれています。しかしそもそも健康な人の深部静脈血栓症の発生率は年間0.012%(10万人に12人)ですので、たとえ3倍リスクが高くても心配する確率ではありません。


診断に必要な検査
  • 超音波(エコー)検査
    ~診断や治療に必要な情報はこの検査でほとんど得ることができます。


治療
保存治療
手術や薬以外の治療を保存治療といいます。弾性ストッキングの着用や生活習慣を改善して症状を和らげるのが目的です。根本的な治療ではありません。
手術治療
  • ラジオ波焼灼術(カテーテルで静脈瘤を焼いてふさぐ治療)
  • ストリッピング術(静脈瘤を引き抜く治療)
  • 硬化療法(注射で静脈瘤を目立たなくする治療)
などがあり、病状または患者様のご希望に合わせて治療法を選択します。