呼吸器外科

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当科の特徴
呼吸器外科では「気胸」の外来ドレナージ治療、内視鏡手術を専門にしています。
気胸とは肺に穴が開いて空気が漏れることで、肺が虚脱してしまう病気です。その原因のほとんどは、肺の表面にできるブラという風船です。
 
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鶏冠のようなブラ。薄いところがどんどん膨張して破裂してしまいます
気胸の治療方針
● 胸腔ドレナージを可能な限り回避します
● 入院期間の短縮に努めます
● 再発を待たずに手術を行っています


当院では痛みを伴う治療を可能な限り回避しています。しかし、個々の症例により状況が異なるため回避できない場合があることをご了承ください。具体的には以下の治療を行っております。
外来で胸腔ドレナージ治療を行っています
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外来でトパーズ®️挿入後すぐに歩行可能です。

気胸は突然発症します。どうしても学校や仕事を休めない場合には、携帯型ポータブル持続吸引器トパーズ®️を用いて外来通院での胸腔ドレナージ治療を行っています。

胸腔ドレンを入れないで手術を行っています
気胸の治療はおもに胸腔ドレナージと手術になります。通常は胸腔ドレナージを行ってから手術を行いますが、当院では手術適応と考えられる場合には、術前の胸腔ドレナージ挿入を可能な限り回避しています。胸腔ドレナージは覚醒時に行うため恐怖を感じる患者様も少なくありません。肺が虚脱していても安静により呼吸苦がない場合には入院していただき、術前胸腔ドレナージを行わずに予定手術を行います。可能であれば手術室で胸腔ドレンを抜きますので、目が覚めた時についているのは点滴の管のみとなります。最短で手術翌日に自宅退院可能となります。

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この程度の中等度気胸でも術前ドレン挿入せずに手術を行うことが可能です
1箇所の皮膚切開で手術を行っています
術前胸腔ドレナージを行なった場合は、ドレン挿入に用いた皮膚切開(2cmを4cmに延長)を用いて、胸腔鏡手術を行います。皮膚切開が1箇所のため、術後疼痛が軽減され、美容的にも優れています。ただし、胸腔内に癒着がある場合、術中出血などのトラブルが発生した場合にはその限りではありません。
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側胸部に1箇所の皮膚切開

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術後創部 3cmの傷1箇所

photo7.jpg比較:複数回の3ポート内視鏡手術では多数の傷が残ります
肺を切除しない手術を行っています
通常の気胸手術では、ブラという穴のあいた風船を切除しますが、当院では30mm以下の場合は切除しません。ソフト凝固と呼ばれるタンパク凝固装置を用いて風船を凝固縮小させて空気漏れを止めます。自験例では肺を切除した場合と比較して術後再発率に有意差はありませんでした。現在当院では、肺切除した場合と比較して術後呼吸機能が温存されるかどうか臨床研究を行っております。希望される患者様には当院臨床試験に同意していただいております。

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ソフト凝固前 ソフト凝固後:ブラが凝固縮小しています

気胸再発を待つ必要はありません
気胸は再発する病気です。通常初回気胸の場合は手術適応となりませんが、当院では明らかなブラが存在する場合には、患者様と相談して手術を行う場合があります。再発するかもしれないと不安な日々を送るのはつらいものです。まして気胸はいつ再発するか分かりません。再発したら胸腔ドレナージという痛い治療が待っているかと思うと、再発を疑う状況となっても病院受診をためらう患者様も少なくありません。再発を繰り返して手術となる場合、初回ドレナージ→経過観察→再発ドレナージ→手術といった治療の流れとなり、痛みを伴う治療を最低3回、それにプラスして気胸に伴う息苦しさを2回、つまりつらい思いを合計5回経験することとなります。痛みを伴う治療の回数および気胸による息苦しさの経験回数を減らすために、当院では初回気胸であっても手術を行っています。いわゆる予防的手術となりますが、手術中に観察してみると癒着が形成されていることもあります。つまり、自覚していない気胸発症を繰り返していた痕跡が認められる場合もあります。
 
両側同時手術を行っています
当院では対側肺に明らかなブラを認める場合には、両側同時手術を行っています。両側気胸の発症率は7-20%と報告されております。自験例300例の検討では両側気胸の発症率が23%と今までの報告よりも高率でした。通常両側気胸が同時に起こることは稀で、時間間隔をあけて発症することがほとんどです。つまり複数回の胸腔ドレナージ+左右2回の全身麻酔による手術となります。当院では1回の全身麻酔+最小0回の胸腔ドレナージで両側同時に手術を行うことが可能です。希望される患者様には当院臨床試験に同意していただく必要があります。
 
トパーズ®️により治療期間の短縮が可能です
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従来の持続吸引機とトパーズ®️ トパーズ®️は小型で携帯可能
 
当院では最新の胸腔ドレナージシステム(トパーズ®)を使用しております。これはデジタルモニターにより空気もれを定量化できる小型ポータブル持続吸引器です。従来の持続吸引器より軽量であり外来での携帯治療が可能です。携帯しての歩行が容易でリハビリが促進され、入院期間短縮につながっています。リアルタイムでのリーク量計測が可能で、ドレナージ治療期間の短縮が可能となっています。外来でドレナージを行ない、4時間後にリークがなければドレン抜去して帰宅可能です。実際に、どうしても入院できないとおっしゃる患者様に対して使用し、日帰り治療が可能でしたので大変喜ばれました。空気漏れが持続する場合にはトパーズ®️を装着して帰宅可能です。しかし、ほとんどの患者様は空気漏れが続く場合には入院治療を選択されております。現在3台常備しております。すべて稼働している場合には通常の持続吸引器での治療となることをご了承ください。
 
再発に対する不安軽減に努めています
 
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当院で治療後は、気胸カードをお渡しすることで患者様の不安軽減に努めています。気胸はいつどこで再発するかわかりません。外出先や旅行先でも治療歴が分かるように2010年頃より上記の気胸カードを患者様にお渡ししています。再発すると他院を受診する患者様がいらっしゃいますが、当院では自施設で再発を確認させていただいております。当院の手術後同側気胸再発率は約8%となっております。反対側気胸再発を含めると実に31%もの患者様に気胸再発を認めております。術後再発は稀なことではありませんし、完全に防げるものではないことをご了承ください。気胸カードの裏面は呼吸器外科医師三品泰二郎の名刺となっております。お守りがわりに財布に入れている患者様もいらっしゃいます。
 

呼吸器外科にて治療を希望される患者様がいらっしゃいましたら、日中は以下の電話番号から外来受診予約をお願い致します。
呼吸器外科・気胸センター 011-665-0020(代) 

夜間休日で再発を疑った場合には以下の呼吸器外科医師直通電話にご連絡ください。緊急で対応させていただきます。
再発を疑う患者様で呼吸苦症状が強い場合は、直通電話OKです。
医師からアポ無し直通電話も受け付けています。
呼吸器外科医師直通 080-9563-8606
 
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