麻酔科

【当科の特徴】
局所麻酔で可能な小手術を除いて、多くの手術は全身麻酔なしでは行うことができません。当科では、脳神経外科、心臓血管外科、消化器外科、整形外科、脊椎脊髄外科、呼吸器外科、頭頚部外科・耳鼻咽喉科、婦人科、乳腺外科、形成外科といった、多様な診療科の手術麻酔を主な業務としています。また、手術室内だけでなく、循環器内科や脳神経外科のカテーテル治療を行う血管造影室やIVR室でも、全身麻酔管理を行っています。
 
近年では健康寿命の延伸・医療技術の進歩により、高齢で基礎疾患の多い患者様に対しても、全身麻酔下での手術が日常的に行われるようになっています。手術中だけでなく術後も合併症を最小限に抑えるよう、手術内容・性別・年齢・基礎疾患などに応じて、最適な麻酔方法を担当麻酔科医が選択し、患者様の安全のため最善を尽くしています。
 
前身である心臓血管センター大野病院の特色を引き継ぎ、当院は心臓・大血管手術が特に多く、心臓血管外科では冠動脈バイパス術、弁手術、大血管手術など、循環器内科では経皮的大動脈弁置換術(TAVI)、経皮的僧帽弁クリップ術(MitraClip)、経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN)、カテーテルアブレーションなどを全身麻酔で行っています。いずれも手術自体の難易度が高いこと、また基礎疾患が多い患者様が多いことから、麻酔のリスクが高くなりがちですが、当科には心臓血管麻酔の修練を積んだ麻酔科医が複数在籍しており、リスクを最小限とする麻酔管理を行っています。
 
脳神経外科手術、脊椎外科手術、頭頚部手術では、術野に近い神経に影響が出ていないか確認するため脳神経モニタリングを行いながら進行することが多いですが、臨床検査技師と協力し、極力モニタリングに影響を与えない麻酔薬を選択して、安全性の高い麻酔管理を行っています。
 
消化器外科手術、婦人科手術、整形外科手術など、術後の痛みが特に心配となりそうな手術では、全身麻酔に加えて、背骨の骨の隙間から痛み止めの管を入れておく硬膜外麻酔や、神経ブロックを積極的に併用しています。神経ブロックは、ほぼ全例を安全性の高い超音波ガイド下で行っています。
 
執刀医、助手、麻酔科医、看護師、放射線技師、臨床工学士、臨床検査技師など、スタッフがお互い協力して、ひとりひとりの患者様に安全な手術が遂行されるよう心掛けています。
 
【認定施設】
日本麻酔科学会 麻酔科認定病院
日本心臓血管麻酔学会 心臓血管麻酔専門医認定施設
 
 
 
【麻酔科管理症例数】
  2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
麻酔科管理症例数 1299 1441 1631 1843
 
 
【麻酔方法分類】
  2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
全身麻酔のみ 840 988 1175 1201
全身麻酔+伝達麻酔 432 447 455 640
伝達麻酔のみ、その他 27 6 2
1299 1441 1631 1843
 
【手術部位分類】(日本麻酔科学会による分類)
  2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
開頭 92 115 115 134
開胸 1 9 78 100
心臓・大血管 348 338 472 431
開胸+開腹 0 2 0 1
開腹(除:帝王切開) 150 166 158 182
頭頚部・咽頭部 43 57 63 47
胸壁・腹壁・会陰 43 46 71 62
脊椎 210 315 305 294
四肢(含:末梢血管) 370 357 367 567
その他 34 6 2 25
1299 1441 1631 1843