虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)

虚血性心疾患とは
虚血性心疾患とは、心臓に酸素や栄養を送り込む働きをしている冠動脈が細くなったり詰まったりすることで、心臓の血の巡りが悪くなる病気の総称です。原因のほとんどは動脈硬化で、それを引き起こし悪化させる因子として、高血圧糖尿病高脂血症喫煙肥満などが挙げられます。
遺伝する疾患ではありませんが、生活習慣を同じくするためご家族やご両親がこの疾患にかかっている、または家族歴がある場合は、発症するリスクが高いことが知られています。


症状
心臓の筋肉が血流不足になると痛みを感じます。症状は胸や肩、首などに重苦しい痛み、圧迫感、締め付けられるような苦しさ、押されるような鈍い痛みなどと表現されます。病気の初期は、安静時よりも心臓が激しく活動する運動時に症状が出現し、安静にすると速やかに症状が改善する特徴があります。胸が締め付けられる痛みが繰り返し起こる状態を狭心症といいます。狭心症の症状で注意が必要なのは、自覚症状と病気の重症度が必ずしも一致しないこと、糖尿病をお持ちの方では胸痛が出現しづらいことです。また、心臓の血流不足が度を超すと急激に心筋の壊死が始まります。これを心筋梗塞と呼び、生命に関わる重篤な状態で一刻も早く治療が必要となります。
 
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診断に必要な検査
  • コロナリーCT検査:外来で行うことができ、冠動脈の病変部位を検索する手段として最も簡便な方法です。造影剤を点滴しながらCT検査を行います。所要時間は10分程度です。
 
  • 心臓カテーテル検査:手首や足の付け根に局所麻酔を行って、カテーテルという細いチューブを動脈の中に挿入し、冠動脈を直接造影する方法です。病気の程度を正確に診断し、適切な治療を決定するのに有用な検査です。入院して検査を行います。所要時間は30分程度です。
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治療
  • カテーテルによる冠動脈形成術(PCI):心臓カテーテル検査と同じ方法で、冠動脈の細いところや詰まったところを、風船で広げる治療です。再発しないようにステント(金属製の筒)を留置します。循環器内科が行う治療法です。
 
  • 冠動脈バイパス術:冠動脈の細いところや詰まったところを迂回する新しい血管(バイパス)を作り、心臓の血流を改善する治療法です。心臓血管外科が行います。以前は心臓を一時的に停止させて行っていた手術も、近年は心臓を動かしたまま手術を行う心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)が主流となり、当院ではさらに低侵襲な手術を目指して胸骨を切らずに小さな創で複数のバイパスを行うMICS-OPCABを症例に合わせて行っています。